ファミリービジネスの研修会に参加しました。


 第一東京弁護士会主催の研修会に参加してきました。私は、第一東京弁護士会の中小企業法部会の副部会長をやっていますので、実際には、研修は参加というより主催者側です。この研修は、中小企業の専門家を育成するための研修の第1回目にあたります。リレー研修といって第2回、3回と続けて受講することによって専門性を高めることを目的としています。

 お題は、「同族経営の課題と業際的支援」です。日本ファミリービジネスアドバイザー協会の理事の西川先生、事務局長の武井先生を講師としてお招きしました。日本では、アメリカ合衆国ほど、あまりファミリービジネスの研究が進んでいないためか、同族経営というと、なにかよくないイメージがあるようです。お金持ちで苦労していないボンボンが悪いことをしているという、よくあるドラマ的なイメージを持っている方もいるみたいです。
 しかし、実際には、ファミリービジネスは、長寿で、収益もいい優良な企業も多いのです。もちろん企業規模が大きくなっていく過程で、ノンファミリーの取締役を入れたりとかもしますが、その場合でもオーナーシップの中核はファミリーが担っている会社は多いのです。ある資料によると、日本の会社の97%は同族企業だそうです。

 この研修の目玉は、臨床心理士富士見ユキオ先生をお招きしたことです。これ実は、私のアイデアなんです。私は、臨床心理士のカウンセリングと法律相談はちょっと似ている面があると思っていました。法律問題を解決するのには、弁護士である以上法律の知識があるのは当たり前ですが、それ以上に「洞察力」がものをいいます。洞察力を高めるには、いろいろな引き出しをもっていて多角的に物事を見る癖をつけないといけません。そのために役に立つのではないかと思ってこの研修を企画したのです。

 臨床心理士のカウンセリングでは、ジェノグラムという人間相関図を使います。これをもとに、臨床心理学の専門的な知識に基づき、心のトラブルの原因を分析し、心の健康のために活動するのが臨床心理士のカウンセリングです。

 これに、弁護士としての専門的な法律知識を加えると、どうなるでしょうか。法的なトラブルは、背後に心のトラブルが潜んでいることが珍しくありません。むしろほぼ100パーセント潜んでいるといってもいいくらいです。法的な知識を加えたカウンセリングは、家族にトラブルの原因についての了解感を与え、激しい対立のあるトラブルを和解に導きます。また、家族に共有できる価値や目標を設定することができます。このようなカウンセリングを通じて、「家族の憲法」、家族の評議会をつくることによって、ファミリーのガバナンスを可能にし、家族の結束を強め、後継者の育成を可能にし、より大きく、より効率的で、より長寿の企業を育てることができるよう企業の体質を改善することができるのです。

 この研修は、遅刻・早退不可、受講後にアンケートを書いて提出しないといけないことになっており、厳しいルールが課されていますが、とても好評でした。また、何かアイデアが浮かんだら、新しい研修を企画したいと思います。



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