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社労士の研修旅行の講師をやりました。

 私は、社労士の勉強会に参加しています。その勉強会では年に1回有志で研修旅行をしています。  今年は、長野県の松本へ。一日目は早めに宿に行き、研修を終え、その後懇親会、翌日は観光を少しして帰るというような日程です。  その一日目の研修での講師を引き受けることになりました。テーマは、「弁護士から見た他仕業」です。  弁護士がやっていることって、一般の方はもちろんですけど、他仕業の人からも十分に理解されているとはいえない状況にあります。逆に、弁護士も他仕業のことを十分に理解しているとはいえないでしょう。  そこで、弁護士があまり他の人には言えない仕事の実態とか、自分は、社労士や税理士、司法書士、行政書士、会計士の仕事をこんな風に見ているんです。というな話をし、その後、クロストークで各自が意見交換というようなやり方をしました。  最後には、会長から「どこに行っても聞けないような貴重なお話をいただいて大変勉強になったと思います。」と言っていただけました。  翌日は、松本城を見学し、お蕎麦を食べて帰りました。ざざ虫の類は私は食べませんでした。  士業は信頼関係がとても大事ですが、日頃の交流が信頼関係の基礎になることが多いので、こういう旅行会はとても大事な企画なのです。これからも参加したいと思いました。

社労士の勉強会に参加してきました。|外国人技能実習制度について

 今回のテーマは、「外国人技能実習制度について」です。  技能実習制度の目的は、日本国の技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することにあるとされおり、平成5年に創設された制度です。在留資格は、いわゆる入管法別表第1の2の表の「技能実習」となります。制度の概要については 厚労省のサイト をご覧ください。  米国務省の「売春や強制労働などを目的とする世界各国の人身売買に関する2014年版報告書」では、この制度が強制労働に悪用されている事例が後を絶たないと批判されています。この点に関する産経新聞の記事は こちら をご覧ください。   技能実習生3人が実習先とこれをあっせんした協同組合に対し金沢地裁に訴訟を提訴したとの記事 もあるように、残業代を支払わないという労働基準法違反、最低賃金法違反を始め、パワハラ、セクハラといった現象面の問題もありますが、一番の構造的な問題は、雇用主がパスポートを預かったり、一定額の保証金を預けるデポジット制や被用者が孤立していることによって生じる、雇用者が費用者に対して取得する事実上の強制力です。  この問題については、東京で弁護士業をやっているとあまり実感する機会は多くありません。上記の記事でも金沢地裁に提訴とあるように地域差があるのです。今でも実習生が失踪してしまう例がそれなりにあるのですが、一例は、上記のように、雇用主のほうに問題があり、実習生が逃げてきたというものですが、いわゆる泣き寝入りによって表面化しない事例も多数あると推測されます。ただ、検察庁は、10年以上前になりますが、入管法違反(不法残留)、いわゆるオーバースティを起訴しない方針としました。そのため、技能実習生が失踪し、多くは東海地方で、違法に稼働しているようなのですが、多くの弁護士にとって、どうして失踪するに至ったのかその原因を公判を通じて把握することができない仕組みとなってしまったのです(もちろん独自のルートを通じて情報を収集して専門的に取り組みを続けている弁護士もたくさんいらっしゃいます。)。  外国人被用者をあっせんする協同組合や、多くの弁護士よりはこの問題に近い立場にある社労士の先生方の実感だと、10年前と比べて雇用主の意識はかなり変わってきているとのことでした。以前は安い労働力を使うため

第4回中小企業専門家養成講座を受講しました。

第4回中小企業専門家養成講座を受講しました。本日の講演テーマは「中小企業・小規模事業者の支援体制」です。 講演してくださったのは、 中小企業庁前長官の鈴木正徳氏 と 同庁経営支援部長 の丸山進氏です。日本の中小企業政策は、時代の要請に応じて基本理念が見直されつつ、様々な支援策が整備・充実されてきた歴史がありますが、その政策を実施している中小企業庁のいわゆる「中の人」が講演してくださるというめったにない機会です。 日本の中小企業政策には非常にわかりにくい面あり、それが中小企業の専門家の育成を妨げてきたという事情があります。 その一つは、制度自体が非常に多くあり、複雑という面があります。認定支援機関は、経済産業大臣と内閣府特命担当大臣(金融担当)の認定を受けています。たまに弁護士でも誤解してHPに書いている人がいますが、中小企業庁や同庁長官から認定を受けているわけではありません。中小企業庁は、経済産業省の外局ですから、経済産業大臣というのは理解できますが、なぜ経産省と金融庁の連名形式で制度設計をしたのかというと、認定支援機関に信用金庫等の金融機関が入ることと、いわゆる金融円滑化法対応が制度の大きな柱だったからです。また、中小企業政策を決定するのは、国ですが、それを実施する主体は、国のみならず、都道府県、市町村も含まれます。そのため、制度が実施主体、目的に応じて区々わかれ、自分が利用したい制度をどこが管轄しているのかも決してわかりやすいとはいえません。 もう一つの事情は、中小企業政策は、変化が速いということです。ある補助金を何かの機会に勉強して、何かの機会に社長に話したら、もうその補助金は廃止されてしまっていたということも十分にあり得る話ですし、補助金の公募が始まってから準備をしても間に合わず、一次公募はもう終わっていまい、本年度予算は使いきってしまいましたというようなことも十分にあり得ます。本が出版されるサイクルは早くても2年程度ですから、本を読んで勉強するというわけにもいかず、今どのような制度があり、いつまで利用できるかも決してわかりやすいとはいえません。 そのような事情は、実は、時々の政府の政策、つまり、閣議決定の時期と、国会での法律、予算の成立時期とリンクしているから生じることなのです。どのような時期に、どのような方法で情報を収集し、どのような

第3回中小企業専門家育成講座に参加しました。

第一東京弁護士会主催の第3回中小企業専門家育成講座に参加しました。 テーマは「地方自治体の中小企業支援政策」です。 我が国の中小企業政策は,中小企業基本法等の国の法律に基づいておりますが,実施主体は,国のみならず,各都道府県,各市町村の地方自治体も含まれています。中小企業は,地域色が強いので,むしろ地方自治体の施策のほうが重要ともいえるかもしれません。予算の規模は,国,都には遠く及びませんが,地方の実情に応じた現場の実務を担当しているのが,東京では区の中小企業政策です。今回は,荒川区と板橋区の政策の実務を勉強しました。 一昔前は,民間の一企業に税金を使って支援をすることに批判的な声もあったようですが,現在では,中小企業が国の経済の基礎を担い,雇用の創出主体でもあるなどその積極面に着目した積極的な支援が求められており,これまで区の行ってきた事業を公社に委託するなどの流れが強くなっているようです。 荒川区では平成18年からMACCプロジェクトを実施しており,そのポイントは次の三点にあるとされています。 行政のコーディネート力の向上 産学官ネットワーク強化と連携の場の創設 先導的な産学連携プロジェクトの形成 首都大学東京健康福祉学部との連携で,手を放しても倒れない自立する杖, フェレット杖 の開発に成功したとの実績があります。 板橋区では,起業家精神が高揚する場所の提供というコンセプトに基づき,事業所,従業員数,付加価値の更なる増大を目指し,公益財団法人板橋産業振興公社の事業を活用しています。 これから中小企業が生き残っていくためには,産学官のネットワークだけでなく,中小企業同士の産産ネットワークが必須の時代となっており,それに応じてトラブル・紛争も多くなっております。中小企業の主な相談相手は今までは顧問税理士だけというところが多かったと思います。今後は,税理士と弁護士のネットワーク,弁護士同士のネットワークを通じて,専門性の高いサービスと,総合的なサービスの両立という難しい課題が突きつけられてるといえそうです。 私が会長を務める 「新時代のプロフッションを目指す会」 は,正にこのような難しい課題に対応するために設立された会です。時代は大きく動いています。

税理士との勉強会に参加しました。

 東京税理士会四谷支部との勉強会に参加してきました。  テーマは, 嫡出でない子(法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれたのではない子供)の法定相続分差別違憲決定(最大決平25・9・4民集67・6・1320) を受けた今後の実務対応です。  本決定は, 平成25年9月4日 に出されたもので,嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(民法900条4号ただし書前半部分)は,「遅くとも 平成13年7月 当時において,憲法14条1項に違反していたものというべきである。」としました。  また,「本決定は,平成7年大法廷決定並びに前記3(3)キの小法廷判決及び小法廷決定が,それより前に相続が開始した事件についてその相続開始時点での本件規定の合憲性を肯定した判断を変更するものではない。」と判示しており, 平成12年9月 当時の合憲判断を維持しております。   さらに,「本決定の違憲判断は,Aの相続の開始時から本決定までの間に開始された他の相続につき,本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。 」とも判示しました。 詳細は こちら をご覧ください。  これにより明治時代より引き継がれてきた民法が平成25年12月5日改正されることになり,民法900条4号ただし書前半部分を削除し,嫡出でない子の法定相続分が嫡出子の相続分と同等になりました(同月11日公布・施行)。この新法が適用されるのは, 平成25年9月5日 以後に開始した相続です。詳細は 法務省のサイト をご覧ください。  適用される法律・判例の基準となる時点がたくさんでてきましたが,以上をおおざっぱに整理すると 平成12年9月 以前に開始した相続に関しては,改正前の規定を適用して遺産分割をします。 平成12年10月 以後で 平成13年6月 以前に開始した相続に関しては,現時点で確定的なものとなった法律関係に至っていない事案については,本規定の合憲性を争う余地があり,その結果により改正前の規定が適用されるかどうかが決まります。 平成13年7月 以後で 平成25年9月4日 以前に開始した相続に関しては,確定的なものとなった法律関係に至っていない事案については

ブラック企業についての勉強会に参加しました。

社会保険労務士の勉強会に参加しています。 今回のテーマは「ブラック企業」と「最近の労働法制」についてです。 「ブラック企業」という言葉自体曖昧なところがありますので,厚生労働省では,「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」と呼んでいます。厚労省では,若者の使い捨てが疑われる企業等に対し,監督指導を行っていますが,過重労働・法令違反の割合が高く,約8割に労基法違反が認められたとの結果を発表しています。詳細は こちら をご覧ください。 新卒社員を酷使した労務管理体制になっており,過重労働、パワハラ,セクハラ,うつ病等によって『若者が使い捨てられること』がいわゆるブラック企業の問題の本質です。 そのため,厚労省は, 「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」 との通達において,過重労働による業務上の疾病を発生させた事業所であって,労基法違反が認められるものについては,司法処分を含めて厳正に対処するとともに, 「若者応援企業」宣言事業 を立ち上げ,若者の採用・育成のため,一定の労務管理の体制が整備されている中小・中堅企業を「若者応援企業」として、積極的にマッチングやPR等を行うこととしています。 平成26年5月27日には 「過労死等防止対策推進法」が衆議院で可決されました。 いわゆるブラック企業は,若者の健康・人権を侵害するだけでなく,副次的に,医療費の増大,税収の減少,生活保護世帯の増大,健康保険財政の悪化を招き,国家的損失も大きく,国をあげての対策が必要とされています。近時の行政の対応,立法の動向までを広く勉強し,意見を交換しました。

第2回中小企業専門家養成講座を受講しました。

第一東京弁護士会の第2回中小企業専門家養成講座を受講しました。 今回の講師は、 東京理科大学教授の松島茂先生 です。 テーマは「中小企業政策の変遷―中小企業庁設立と中小企業基本を法を中心に」です。 中小企業政策は,1948年の中小企業庁の設立,1963年の中小企業基本法の制定,1999年の中小企業基本法の抜本改正を経て現在に至っています。そこでは,中小企業は,市場競争の担い手であり,イノベーションの担い手であり,魅力ある雇用創出の担い手であり,地域経済社会発展の担い手であるとされ,これらの役割を果たせるようにするための,バランスのとれた政策が必要であるとされています。 少子高齢化及びそれに伴う人口の大幅な減少が予想される中,このままいけば,日本の市場自体が縮小していくことは避けられないでしょう。日本の市場自体が縮小すれば,多くの中小企業は廃業に追い込まれていきます。活力ある中小企業まで廃業せざるを得なくなることもあり,事業承継対策をとることは不可欠です。また,グローバリゼーションが進展する中,中小企業は,海外展開,イノベーションなくして存続することは難しいでしょう。 このように複雑に展開している現代社会では,単なる法律問題だけでは解決できない問題も多く,これからの弁護士は,経営戦略,経営判断と無縁ではいられません。 非常にためになる内容で,中小企業専門家養成講座の名にふさわしいものでした。 講義終了後は,松島先生を囲み,中小企業部会の面々と会食をしました。活発な意見交換がなされ,こちらも大変勉強になりました。話題は多方面に及び,楽しいひと時を過ごしました。

XPとインターネットエクスプロラーの危険性(追補)

  XPとインターネットエクスプロラーの危険性について記事 を発表した翌日に、マイクロソフト社が 修正版の提供を開始したとの ニュースが発表されました 。しかもXPにも対応するとのことです。詳細は 日本マイクロソフト社のサイト をご覧ください。   あまりに早い対応に肩すかしをくらったという方も多かったようですが、 上の記事 で「 マイクロソフトがアメリカ当局と見解を摺合せこの時期に発表するのが危険を最小限度にすると判断した」のではないかと述べたとおり、修正パッチは既に作成済みだったのでしょう。  いずれにせよ、今回の脆弱性とは別の脆弱性が発見されるのは時間の問題ですので、根本的に問題が解決したわけではありません。  用途別にブラウザを使い分けるなど自衛策をとる必要性が薄れたわけではありませんのでご注意ください。

中小企業におけるXPとインターネットエクスプロラーの危険性

  インターネットエクスプローラ(以下「IE」とします)で深刻な脆弱性が発見され、アメリカ政府が使用しないように警告をしています 。   バージョン 6 以降、最新版のバージョン 11 まで、すなわち現在稼働している、ほぼ全ての IEが対象ですから、ほとんどの企業および個人が対象になると思っていただいて間違いないと思われます。   裁判所でもIEの使用を中止しています し、巷の企業でも同様の対応をとっていますが、現場ではなにがどう危険なのかがきちんと理解されていないため、とりあえずインターネットの使用を一切禁止するとか過剰な対応をしているところもあり、逆に、インターネットで公開されている情報をキーワードなどを使って検索できるアプリの 検索エンジン と ブラウザ の区別がついていないためインターネットはYahooで見ているから大丈夫というような人もいたりして現場は大混乱のようです。詳細は こちら をご覧ください。  混乱の最大の原因は、マイクロソフトのOSを使うと、抱き合わせ的にIEがついてくるのでインターネットを見るのに必要な ブラウザ というソフトが複数あるということを知らない人が多いという点にあると思います。   アメリカ政府はIE以外のブラウザを使うことを推奨していますが、 グーグルクローム 、 ファイヤーフォックス というブラウザがあり、これをダウンロードすれば、インターネットを使用できます。  マイクロソフトは、早急にIEが安全に使えるようになるように、パッチと呼ばれる更新ソフトを無料で配布する予定ですが、もちろんウィンドウズXPは対象外です。  ウィンドウズXPとワード、エクセル2003を使い続ける危険性については、 過去の記事 をご覧ください。  この時期に、IEの脆弱性が発表されたことから、XPの買い替えを迫るためのマイクロソフトの戦略・陰謀なのではないかといぶかる向きもあるようですが、それは考えすぎだと思います。バージョン 6 以降、最新版のバージョン 11 まで脆弱性が見つかったということは、6で導入したプログラムに脆弱性があり、それを基礎に発展してきた後進のプログラムに同様に脆弱性があると考えるのが自然だからです。おそらくそれを発見したハッカーが掲示板で報告をして、それを知ったマイクロソフトがアメリカ当局と見解を摺合せこの

ウィンドウズXPを使い続けることの法的なリスク

 とうとうウィンドウズXPのサポート期間が2014年4月9日に終了しました。この点に関する過去の記事は こちら をご覧ください。  XPに対応していたワード2003、エクセル2003等オフィス2003も同時にサポート終了になります。詳しくは、 マイクロソフトのHPをご覧ください 。  たとえ自分のパソコンに漏れて困るような個人情報が入っていないとしても、悪意ある攻撃の踏み台にされたりするなど他人に損害を与える可能性があります。   警視庁もその危険性を警告をしています ので、決して安易な気持ちで使い続けないでください。  現時点では、裁判で現に訴訟を提起されたという事案には接していませんが、サポートの切れたパソコンを利用して他人に損害を与えた場合、法的責任を免れるのは極めて難しいでしょう。本人に悪気はなくとも、他人に損害を与えることは当然予想できたと言えるからです。損害がどの位広がり、大きなものになるのかも運次第と言わざるを得ません。  もしどうしても使いたいということであれば、LANから外し、インターネットを使用せず、USBも使用禁止するしかありませんが、それってもうパソコンではないですよね。純粋なワープロです。

中小企業専門家育成講座を受講しました。

 第一東京弁護士会の標記研修を受講しました。  テーマは、「中小企業政策と弁護士の活動」です。  弁護士会の研修は、講師の弁護士としての体験談に基ずく実践的な研修が多いのですが、今回の研修は、私見を前面に押し出したちょっと風変わりな研修でした。個人的には、こういう研修のほうが好きですが、人によってはもっと理論的で客観的なものを求める方もいらっしゃるかもしれません。  講師は、当会の元副会長の池内稚利先生です。経歴は、 このような感じです 。中小企業庁とのパイプが太い感じですね。  顧問先が中小企業が多いからといって中小企業の専門家とは限りません。この点について 以前書いた記事はこちらです 。中小企業政策の中核は、 中小企業基本法 にあります。司法試験科目に会社法はありますが、中小企業基本法を勉強する機会はありません。また、この法律に従って動いている政策の流れみたいなものは、実務を通じて勉強するしかないというような側面があります。毎年制度が少しづつ変わっており、まとまった本がでるのを待っていたらいつまでたっても身に付きません。今回の講座は、このような中小企業政策のダイナミックな側面を説明し、弁護士の活動にどのように役立てるかという実践的なものでした。若手の弁護士も数多く参加して熱心にメモをとっていたのが印象的でした。  私は、中小企業診断士の先生方の勉強会に参加しており、また、実際に、 経済産業省及び金融庁から認定された経営革新等支援機関 として中小企業診断士、税理士の先生方と連携して仕事を一緒にしていますので、非常に役に立つ講座でした。研修後には、講師との懇親会にも参加し、更に役に立つお話を聞くことができました。本講座は、専門家育成講座の第2回目で、今後も続いて開催されるので、継続して参加する予定です。  

著作権法からみた小保方晴子氏のコピペ問題についての一考察

  小保方晴子氏の論文がいろいろと問題 になっているようです。  私は法律家なので、法律実務家としての観点でしか発言できません。例えでいうと、テニスプレイヤーであった松岡修造さんが他のスポーツの解説をやっていますよね。それは、皆さん承知の上で、ありえる一つの意見として消費しているわけです。  ですから、科学的な観点からの研究の成果については、追試の結果を待つとして、本考察は、あくまでも、著作権法という観点からの、法律実務家としての一考察です。  他人の著作物のコピーアンドペーストが著作権侵害として違法になるかに問題を限定すれば、原則として違法です。  それは、英語論文の特定の表現は別という限定は著作権法にないからです。別の観点からの例外はあります。定型的な誰が書いても同じようにならざるを得ないような文です。新聞の死亡記事のような文ですね。  原則と例外のどちらにあたるか、どのような場合に著作権侵害になるかといえば、それは程度問題ですが、それを判断する人は誰か、ということが問題の本質なのです。  もちろんそれは裁判所です。  小保方晴子氏の論文が剽窃にあたるか否かは、最終的には、著作権者が裁判所に訴えて、判決がでるまでわかりません。  著作権者は、そもそも当該論文を読まないかもしれません。読んで剽窃だと思っても、訴えないかもしれません。その理由は、手間、費用、利益とか、いろいろあると思います。そのような観点から、法律実務家としてアドバイスさせていただくこともあります。  法律に従って判決によって結論がでる以前の問題として、研究倫理の問題があります。  アドバイスする側の選択肢として、最終的に違法と判断されるまではフリーだと考える依頼人がいたとして、それまではどんどんやりたいという人から、法律論に限定してアドバイスしろといわれた場合、お薦めしないけど違法とは言い切れませんというアドバイスになります。依頼人の質問は結論を含んでいるので、それ以外の回答はないわけです。  他の選択肢として、信頼関係を前提に、オープンで、どうしたらいいですか、と聞かれた場合、コピペは絶対にしてはいけませんというアドバイスになります。それは、統一的な観点からアドバイスをしようとすれば、研究倫理の問題としても、教育の問題としても同じ結論になるはずだからです。法律というのは

ファミリービジネスの研修会に参加しました。

 第一東京弁護士会主催の研修会に参加してきました。私は、 第一東京弁護士会 の中小企業法部会の副部会長をやっていますので、実際には、研修は参加というより主催者側です。この研修は、中小企業の専門家を育成するための研修の第1回目にあたります。リレー研修といって第2回、3回と続けて受講することによって専門性を高めることを目的としています。  お題は、「同族経営の課題と業際的支援」です。 日本ファミリービジネスアドバイザー協会 の理事の西川先生、事務局長の武井先生を講師としてお招きしました。日本では、アメリカ合衆国ほど、あまり ファミリービジネス の研究が進んでいないためか、同族経営というと、なにかよくないイメージがあるようです。お金持ちで苦労していないボンボンが悪いことをしているという、よくあるドラマ的なイメージを持っている方もいるみたいです。  しかし、実際には、ファミリービジネスは、長寿で、収益もいい優良な企業も多いのです。もちろん企業規模が大きくなっていく過程で、ノンファミリーの取締役を入れたりとかもしますが、その場合でもオーナーシップの中核はファミリーが担っている会社は多いのです。ある資料によると、日本の会社の97%は同族企業だそうです。  この研修の目玉は、 臨床心理士 の 富士見ユキオ先生 をお招きしたことです。 これ実は、私のアイデアなんです。私は、臨床心理士のカウンセリングと法律相談はちょっと似ている面があると思っていました。法律問題を解決するのには、弁護士である以上法律の知識があるのは当たり前ですが、それ以上に「洞察力」がものをいいます。洞察力を高めるには、いろいろな引き出しをもっていて多角的に物事を見る癖をつけないといけません。そのために役に立つのではないかと思ってこの研修を企画したのです。  臨床心理士のカウンセリングでは、 ジェノグラム という人間相関図を使います。これをもとに、臨床心理学の専門的な知識に基づき、心のト ラブルの原因を分析し、心の健康のために活動するのが臨床心理士のカウンセリングです。  これに、弁護士としての専門的な法律知識を加えると、どうなるでしょうか。法的なトラブルは、背後に心のトラブルが潜んでいることが珍しくありません。むしろほぼ100パーセント潜んでいるといってもいいくらいです。法的

瀬木比呂志著『絶望の裁判所』を読んで

  標記の本 の著者である瀬木比呂志氏は、現在明治大学法科大学院の教授だが、もともとは裁判官、その中でも外部からはエリート街道を歩いていたと思われていた人だ。  弁護士にも、得意不得意はあるが、私は、仮処分とか、仮差押とか緊急性のある民事手続をよくやっている。以前、知人の会社の社長から、緊急性がある事件なので、顧問の弁護士に仮処分を依頼したが、その弁護士が次回の期日に1か月後の日程を希望したので、日本の司法制度に絶望したという話を聞いたことがある。もちろんそれは日本の司法制度の問題ではない。通常の裁判であれば、1か月に1回というのは通常のスケジュールだが、仮処分では1週間から10日間に1回期日を入れるのは通常である。要するに、件の顧問弁護士は民事保全という緊急性のある事件に不慣れだったのである。  瀬木氏は、 『民事保全法』(判例タイムズ社) という著書もあり、その分野では、名の通った人物である。私も事件を受任するたびに、真っ先に参照する文献であった。  その瀬木氏が実務を知る一裁判官の立場から、標記のような題名で、裁判所、裁判官の批判の本を書いたというのであるから、読まずにはいられない。発売日に買って読了した次第である。  論ずべき点は多々あるが、今回は私が前から思っていた点を一つだけあげることにする。  それは、裁判官は世間知らずだという広く流布している誤解である。  私は、裁判官との勉強会にも参加している。私の実感からすると、裁判官は、実務を通して実社会、しかも多数の紛争を通じて接しているので、少なくとも一般の人と比べて世間知らずということはない。もちろんある特定分野の専門家や業者からすれば、その業界の常識を知らないということはあるだろう。しかし、それは弁護士でも同じだし、いわんや世人においておやである。その業界の常識を当然知らないであろう裁判官に、いかにして理解させるかを工夫するのが弁護士の職分であろう。  本書では、裁判所における権謀術策を赤裸々に描いており、私自身が知りえた情報と照らし合わせても、かなりの部分が納得できるものであった。裁判官で本当に世間知らずといえるような人はむしろ職人として信頼できる裁判官であり、裁判所を運営している裁判官、そのような裁判官を構造的に生み出す裁判所の制度に問題があるという指摘にはほぼ同意できる。  弁護士

原理・原則ゼミの思い出

 先般,後輩の弁護士の結婚式に出席してきました。  私は,弁護士になって数年間司法試験受験生の指導を行っていました。一応謝金はでるのですが,ゼミの後,受験生を連れて呑みに行ってしまうとなくなってしまうので,実質はボランティアでした。十数人のゼミでしたが,ほとんどのゼミ員が合格して現在弁護士になっています。若干1名連絡がとれない人がいますが,もしこのブログ見たら連絡ください。  結婚式の話に戻しますと,最後のご挨拶の際に,「僕の師匠」と紹介していただき,「あのゼミで教わらなかったら,司法試験に合格していなかった。」とまで言っていただきました。当時は仕事の合間にプライベートの時間を削ってやっていたので,大変でしたが,全ての当時の苦労が報われたような気がしました。  ゼミの内容ですが,基本的には,ゼミ員が司法試験の過去問の答案を書いてきて,それを添削した上で,討論をするというものでした。  日本では,実務文の書き方を教わる機会がほとんどないため,まず,書かれた答案を実務文に直すとどうなるか,という点から添削をします。  討論では,ゼミ員同士がお互いの答案のよかった点を指摘したり,どうしてそのような書き方をしたのかという理由を質問したりして,それについて私がコメントを付けていました。  現在は法務省のHPで司法試験の問題の「出題の趣旨」が発表されていますが,当時はそのようなものがなかったので,受験生はみな手さぐり状態で,なにを書き,又はなにをあえて書かないかを探っていました。  それを,問題文から分析して,原理・原則から,各設問の共通項を探し出し,答案に記載すべき事項又はあえて記載しない事項を,採点する人の立場に立って決定するという訓練をしていたのでした。  いい書面というのは,多角的だけど,多重的になるのです。  実務家になってみると,仕事でやっていること全く同じですので,まさに司法試験は実務家登用試験なのだなあと思ったのを懐かしく思い出しました。  

関東経済産業局主催「経営者保証に関するガイドライン及び経済対策の説明会」に参加しました。

 関東経済産業局主催「経営者保証に関するガイドライン及び経済対策の説明会」に参加してきました。   「経営者保証に関するガイドライン」 はインターネットで取得することができます。  このガイドラインに法的拘束力はありませんが、金融庁は「経営者保証に関するガイドラインの融資慣行としての浸透・定着等」という新たな評価項目を設けて監督指針を改正したため、金融機関を事実上拘束するだけでなく、適用の日である平成26年2月1日以前に締結された保証契約にも適用があることから、実務に与える影響はかなり大きなものになると予想されます。  このガイドラインは、日本における中小企業の経営者による個人保証の慣行が思い切った事業展開や早期の事業再生を妨げている要因になっていることなど多様な問題を存在していたことから、かかる慣行を改め、法人の事業資産と個人資産が明確に区別されている場合等、一定の条件を満たす場合には、保証を求めないことや、履行時に一定の資産が残るなど早期に事業再生に着手することへのインセンティブを与え、中小企業金融実務の円滑化を通じて中小企業の活力を引き出し、ひいては日本経済の活性化に資することを目的として作成されました。  このガイドラインは、 2013年6月14日付け閣議決定の日本再興戦略 において、新事業を創出し、開業率が廃業率を上回り、日本の現状が5%台である開廃業率を英米並みの10パーセント台に引き上げるための施策として位置づけられています。  そのため、かなりの予算をつけた様々な経済対策とセットになって実施されることになり、本年2月から順次公募が始まるとのことで、補助金という面でも注視していく必要があると思われます。  履行時に一定の資産が残るという点ですが、具体的には、会社が破産した場合でも、社長の華美でない自宅を残せる路もあるというとわかりやすいでしょうか。  もちろん一定の条件を満たすことが必要ですが、これからは、このガイドラインについての知識は、中小企業の経営者にとって非常に重要な ものになると思われます。  早めに専門家に相談されることをお薦めします。    

経営者保証に関するガイドライン研究会

「経営者保証に関するガイドライン」が平成26年2月1日から適用されることになりました。 このガイドラインに関する 経済産業省関東財務局主催の説明会 が開催されることになったので早速予約しました。 中小企業の経営者は,従来会社の事業資金の借入に際し,連帯保証人になるのが日本の慣行でした。諸外国ではあまり見られないこのような慣行を見直す大きなきっかけになるかもしれません。 詳細は,後日改めて発表する予定です。

図書館戦争と特定秘密保護法

 ちょっとご縁があって観た 「図書館戦争」という岡田准一さんと榮倉奈々さん主演の実写映画 の感想です。  観ていない方には是非観ていただきたいのですが、弁護士として面白かったのはその設定です。架空の法律 「メディア良化法」 を中心に物語りは進みます。ちょっと現実味を欠く設定ですが、現実の法律論からしてもとても興味深い論点を含んでいます。  時は2019年、平成ならぬ「正化」という年号で、「メディア良化法」に基づき、青少年に悪影響を与える本を検閲・没収・廃棄でき、没収するに際し、抵抗する者に対しては重火器を含む武力行使を一定の時間行使できる。これに対し、これまた架空の法律 「図書館法」 に基づき、設立された「図書隊」は、メディア良化法に定められた時間内、没収することを阻止すれば、検閲対象の本を保持できるという設定です。  図書館隊の新米隊員・榮倉奈々さん演じる「笠原郁」と岡田准一さん演じる鬼教官・「堂上篤」を中心に物語は進んでいくわけですが、図書館隊関東図書基地司令の「仁科巌」を演じる石坂浩二さんの台詞が法律的にとても面白い論点を含んでいるのですね。  主人公の笠原郁は、仁科巌にこう問いかけます。「どうしてこんな世界になっちゃったんでしょう?」 仁科巌はこう答えます。 「人々は無関心です。多くの人は自分とは関係のないことだと思っている。言論が規制されることの本当の意味を理解できなかった。すまない。われわれ大人はこんな世界を君たちに残してしまった。」  空気のように、あるときの意味には気づかず、失って初めて気付き、気付いたときには取り戻せない。  特定秘密保護法は、多くの問題を含んだ法律で近い将来訴訟になってその合憲性が問われると思います。裁判所は、どこが、どのように問題なのか、その理由はどうしてなのか、を具体的に論証することを求めてきます。どのような憲法上の原理・原則に基づく規制があるのかを具体的に論証できなければ、立法府の裁量の問題と簡単に片づけられてしまうでしょう。 悪魔の代弁者 となって、どれだけその準備をできるのか、子どもたちにどのような世界を残せるのかが問われている気持ちがしました。

新年のご挨拶ー平成26年ー

謹 賀 新 年 皆様におかれてはお健やかに新春をお迎えのことと存じます。 旧年中は一方ならぬご高配にあずかり 誠にありがとうございます。 本年も昨年同様宜しくお願い申し上げます。 馬には乗ってみよ人には添うてみよと云われます。 本年も皆様にお心に添うような仕事を心掛けたいと思います。 皆様がますますご活躍されることを心よりお祈りいたします。 平成二十六年 元旦