原理・原則ゼミの思い出

 先般,後輩の弁護士の結婚式に出席してきました。

 私は,弁護士になって数年間司法試験受験生の指導を行っていました。一応謝金はでるのですが,ゼミの後,受験生を連れて呑みに行ってしまうとなくなってしまうので,実質はボランティアでした。十数人のゼミでしたが,ほとんどのゼミ員が合格して現在弁護士になっています。若干1名連絡がとれない人がいますが,もしこのブログ見たら連絡ください。

 結婚式の話に戻しますと,最後のご挨拶の際に,「僕の師匠」と紹介していただき,「あのゼミで教わらなかったら,司法試験に合格していなかった。」とまで言っていただきました。当時は仕事の合間にプライベートの時間を削ってやっていたので,大変でしたが,全ての当時の苦労が報われたような気がしました。
 ゼミの内容ですが,基本的には,ゼミ員が司法試験の過去問の答案を書いてきて,それを添削した上で,討論をするというものでした。
 日本では,実務文の書き方を教わる機会がほとんどないため,まず,書かれた答案を実務文に直すとどうなるか,という点から添削をします。
 討論では,ゼミ員同士がお互いの答案のよかった点を指摘したり,どうしてそのような書き方をしたのかという理由を質問したりして,それについて私がコメントを付けていました。
 現在は法務省のHPで司法試験の問題の「出題の趣旨」が発表されていますが,当時はそのようなものがなかったので,受験生はみな手さぐり状態で,なにを書き,又はなにをあえて書かないかを探っていました。
 それを,問題文から分析して,原理・原則から,各設問の共通項を探し出し,答案に記載すべき事項又はあえて記載しない事項を,採点する人の立場に立って決定するという訓練をしていたのでした。
 いい書面というのは,多角的だけど,多重的になるのです。
 実務家になってみると,仕事でやっていること全く同じですので,まさに司法試験は実務家登用試験なのだなあと思ったのを懐かしく思い出しました。
 


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