図書館戦争と特定秘密保護法

 ちょっとご縁があって観た「図書館戦争」という岡田准一さんと榮倉奈々さん主演の実写映画の感想です。

 観ていない方には是非観ていただきたいのですが、弁護士として面白かったのはその設定です。架空の法律「メディア良化法」を中心に物語りは進みます。ちょっと現実味を欠く設定ですが、現実の法律論からしてもとても興味深い論点を含んでいます。

 時は2019年、平成ならぬ「正化」という年号で、「メディア良化法」に基づき、青少年に悪影響を与える本を検閲・没収・廃棄でき、没収するに際し、抵抗する者に対しては重火器を含む武力行使を一定の時間行使できる。これに対し、これまた架空の法律「図書館法」に基づき、設立された「図書隊」は、メディア良化法に定められた時間内、没収することを阻止すれば、検閲対象の本を保持できるという設定です。

 図書館隊の新米隊員・榮倉奈々さん演じる「笠原郁」と岡田准一さん演じる鬼教官・「堂上篤」を中心に物語は進んでいくわけですが、図書館隊関東図書基地司令の「仁科巌」を演じる石坂浩二さんの台詞が法律的にとても面白い論点を含んでいるのですね。

 主人公の笠原郁は、仁科巌にこう問いかけます。「どうしてこんな世界になっちゃったんでしょう?」
仁科巌はこう答えます。
「人々は無関心です。多くの人は自分とは関係のないことだと思っている。言論が規制されることの本当の意味を理解できなかった。すまない。われわれ大人はこんな世界を君たちに残してしまった。」

 空気のように、あるときの意味には気づかず、失って初めて気付き、気付いたときには取り戻せない。

 特定秘密保護法は、多くの問題を含んだ法律で近い将来訴訟になってその合憲性が問われると思います。裁判所は、どこが、どのように問題なのか、その理由はどうしてなのか、を具体的に論証することを求めてきます。どのような憲法上の原理・原則に基づく規制があるのかを具体的に論証できなければ、立法府の裁量の問題と簡単に片づけられてしまうでしょう。悪魔の代弁者となって、どれだけその準備をできるのか、子どもたちにどのような世界を残せるのかが問われている気持ちがしました。






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