若手の弁護士向けセミナー(士業のための経済学)の講師を務めました。

 若手の弁護士向けセミナーの講師を務めました。

 テーマは,「士業のための経済学-経営者と共に歩むために」です。

 弁護士でも,経済学なんて法律と関係ないよ。なんて誤解をしている人はけっこういます。憲法と民法と労働法をきちんと研究したことがあれば,法学をきちんと理解するためには,経済学の基礎的な知識が必須不可欠であることが理解できます。

 そこで,若手弁護士向けに,法学を正確に理解し,経営者ときちんと議論できるための基礎知識について講演しました。

 ただし,基礎知識とはいえ,決して一朝一夕に理解できるものではありません。そこで,会計学,複式簿記,有価証券報告書の読み方,金商法,流通経済学などなど複数回に分けて講演をし,その最終回として経済学の基礎を講演することになったのです。

 とはいえ,経済学については所詮私も門外漢ですので,参考文献を挙げて後は自分で勉強してね。というスタイルでしたが,法学と経済学と歴史学を織り交ぜての話だったので,若手の弁護士にとっては目から鱗の連続だったようです。
 主な参考文献としては,

  1. デヴィッド・モス著, 久保恵美子訳『世界のエリートが学ぶマクロ経済入門 ―ハーバード・ビジネス・スクール教授の実践講座 』(日本経済新聞社)
  2. 菅原晃著『高校生からわかるマクロミクロ経済学』 (河出書房新社)
  3. 藪下史郎・秋葉弘哉・永田良・若田部昌澄『経済学入門第3版』(東洋経済新報社)
の三点を挙げました。

 一番参照したのは,2.の『高校生から~』のでしたが,内容は決して高校生向けではなく,かなり高度なものです。この本で理解できなかったり,疑問に思った点は3.の『経済学入門~』で確認するようにしました。

 2.の著者の菅原氏によると,動学的確率的一般均衡モデルについて記載してある教科書は現時点では存在しないとのことで,弁護士としてはそこまで理解する必要なく,むしろ新古典派総合以降の「新しい古典派」の動向とルーカス革命以降の大まかな主たる経済学派の共通了解事項を理解していれば十分と考えました。

 内閣府では,こんな研究(動学的確率的一般均衡モデルの動向)もしているようです。

 講演後の意見交換会では,予測されたこととはいえ,経済学の予測は当たってないので,あまり信用していない云々の「意見」がでましたが,謙虚に,きちんと「事実」を学んだ上で発言するようにしましょう。と述べるにとどめました。

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