スクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽

 歴代3社長が辞任し、上場企業としての「みそぎ」を済ませたはず東芝ですが、子会社で原子力発電所の建設や保守を手掛ける「ウエスチングハウス」社(WH)が、計1600億円の減損処理を行っていたことが日経ビジネスの取材で分かったとの記事です。

 第三者委員会の調査報告書もWHの減損問題については踏み込んでいないのですが、細野祐二氏の「東芝粉飾決算事件の真相と全容」(岩波、『世界』、873・227)ではその点が不十分であると指摘され、上記の記事とはちょっと異なる視点で問題提起をしていました。

 事実の詳細が確定していないので現時点では確定的な意見を述べることはできませんが、副社長久保誠氏が「この対応は監査人として明らかに失格。ビットを行うので、EYの監査体制を一新してベストで臨んでほしいと申し入れた。」というメールがあるということであり、米監査法人のアーンスト・アンド・ヤング(EY)の対応に不満をもった東芝側がEYと提携している新日本有限責任監査法人に圧力をかけ、「屁理屈」とも言える会計処理を飲ませたということであれば、「監査責任」が大きな問題になることは確実でしょう。
 
 東芝は、減損判定の際の手法を変えること、収益の日米合算化という2つの「奇策」を打ったとされ、これを新日本監査法人は適正意見を付けています。会計方針は合理的な理由があれば変更できますが、それは会計事実に照らしてみてという限定がつきます。

場合によっては、新日本監査法人の解散、東芝の上場廃止もあり得ると思います。アメリカでも損失を被った株主が集団訴訟を提起し始めているということもあり、米国証券取引委員会が動き出す可能性もあります。

 今後も注視していきたいと思います。


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